冬至かぼちゃに適した品種とは?なぜ食べるのか理由も解説!

江戸時代から続く慣わし=冬至かぼちゃは寒い冬に効果あります。

一年で一番昼の時間の短い冬至からは日照時間が延びていくため、運気が上昇していく吉祥日とされます。

また冬至にかぼちゃを食べると験がいいとの慣わしがあります。

かぼちゃは6~8月に収穫され、3か月程寝かせるとデンプンが糖分に変化、甘味が出ます。

かぼちゃの品種は大きく「西洋かぼちゃ」「日本かぼちゃ」、「ペポかぼちゃ」と3種類あります。



しかし、いざ冬至の時期が来るとこんな疑問を感じることがあるかも知れません。

「冬至に食べるかぼちゃって、どんな品種が最適なの?」
「かぼちゃだったらどんな品種でも冬至に食べても良いの?」

今回はそんな疑問にお答えするべく、冬至のかぼちゃの品種について解説していきたいと思います。



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冬至かぼちゃに適した品種とは?

冬至かぼちゃとして出荷の多い品種は西洋かぼちゃの「えびすかぼちゃ」で、レシピの定番=「煮もの」に最適とされています。

かぼちゃを冬至に食べる理由は、豊富な栄養素によって厳寒の季節に備えることができるからです。

江戸時代から続く慣わしは、現代にまで受け継がれる生活の知恵です。

ただ、冬至に他の品種のかぼちゃを食べるのがNGというわけではなく、単に出回っている数が多いから多く食べられレているという考え方で良いと思います。



豊富なかぼちゃの品種とそれぞれの特徴

かぼちゃの原産地は中南米で、日本には江戸時代にもたらされました。

ポルトガルからの船荷でしたが、カンボジアを経由して長崎に来港したため、国名に因んで「かぼちゃ」と呼ぶようになりました。


一方ウリ科の野菜なので、南から伝来した瓜との意味から「南瓜=ナンキン」との呼び名もあり、関西を中心に馴染みのある名称です。

農林水産省のまとめによれば

国内の栽培面積:約1万5,300 ha(2019年)
国内の年間出荷量:約14万9,700 t(2019年)

おもな産地:北海道:8万,000 t(約55%)、鹿児島県:7,020 t(約5%)、茨城県:5,500 t(約4%)

となっています。(2020年、統計で見る日本)


冬至に最適なかぼちゃの品種:西洋かぼちゃは明治以降に日本に・・・

西洋かぼちゃ、日本かぼちゃ、ペポかぼちゃと三分類のうち、西洋かぼちゃは水分が比較的少なく、ほくほくした食感で甘さも強い品種です。

寒さに強いため特に北海道で多く栽培されていましたが、現在ではハウス栽培により日本中で生産されています。

しかもβカロチンが日本かぼちゃのおよそ5.5倍も含まれています。

主な種類は14品種あり、名称だけを列記しましょう。

黒皮栗かぼちゃ、赤皮栗かぼちゃ、ロロンかぼちゃ、雪化粧、坊ちゃんかぼちゃ、長かぼちゃ、コリンキー、プッチィーニ、鈴かぼちゃ、すくなかかぼちゃ、えびす南瓜、こふきかぼちゃ、味平かぼちゃ、ダークホースかぼちゃ

このうち黒皮栗かぼちゃでは更に「えびす」「みやこ」「くりゆたか」等の品種に分かれますが、これらはスーパーマーケット等の店頭に多く、冬至かぼちゃの定番です。

濃い緑色の皮にスジが入っており、甘味が加熱によって強みを増すと共に、名のとおり栗を思わせるホクホクした食感が特徴です。

日本かぼちゃ:多くの品種と地域的な特色ある産物

日本かぼちゃは江戸時代からあり、西洋かぼちゃに比べ水分量が多い割に煮崩れしにくく、煮ものや揚げ物に適しています。

地域特産の品種も多く形も際立った特徴があります。

主な種類は、黒皮かぼちゃ(宮崎県の特産)、備前黒皮かぼちゃ(岡山県特産)、菊座かぼちゃ、小菊かぼちゃ(石川県能登半島が産地)、島かぼちゃ(沖縄特産)、味皇かぼちゃ(北海道 稚内、留萌、利尻が産地、「かぼちゃの王様」との異名があるほど美味!)。


更に独特の形の鶴首かぼちゃ(鶴の首のように細長く曲がっている)、ピーナッツかぼちゃ(ひょうたんのような形)、鹿ケ谷かぼちゃ(真ん中のくびれが特徴的:京野菜として伝統がある)等、個性的な形の品種も多いです。


京野菜の一種=鹿ケ谷かぼちゃはくびれた胴体が特徴

鹿ケ谷かぼちゃと言えば、私もくびれた形に驚いた記憶があります。

私は京都に近い大阪の北東部の出身ですが、それは京都中心街の錦小路に行ったときのことでした。

いつもは修学旅行生でいっぱいの錦小路も、ちょうど冬至の頃には人通りも少なく歩きやすい時節です。

そんな折に京都の友人と歩いていて、八百屋の店先で鹿ケ谷かぼちゃを見つけました。

京都では珍しくもない京野菜ですが、大阪出身の私はその奇異な形に驚きました。

まさかかぼちゃとは分からず、くびれた胴の形からひょうたんの仲間か、と友人に問うと大いに笑われました。

鹿ケ谷は東山の麓にある南禅寺や永観堂に近く、歴史上も平家へのクーデーターが企てられた地として有名ですが、今のように家が建てこむ前は田畑の広がるひなびた所だったそうで、かつては鹿ケ谷かぼちゃが生産されていた、との旨でした。


ペポかぼちゃ・・・・え!なにそれ!

ペポかぼちゃは北米原産で近年栽培数が増えてきたニューフェイスです。

名前には違和感がありますが、その種類のひとつに「ズッキーニ」を挙げると知っておられる方も多くなりますね。

ズッキーニはその形状からきゅうりの仲間か?と思っておられる方も多いでしょうが、かぼちゃの一種です。

それでもペポかぼちゃに馴染みのない方には「ハロウィンのときのかぼちゃ」を思い起こしてもらえれば、納得して頂けるでしょう。

西洋かぼちゃも日本かぼちゃも果肉はオレンジ色ですが外部は黒っぽい緑色のものが多いです。

一方ペポかぼちゃの特徴として皮がオレンジ色や白色、ストライプなどのものがあります。

他にも金糸瓜(そうめんかぼちゃ)や韓国かぼちゃ、そしてハロウィンで活躍するおばけかぼちゃ等があります。



かぼちゃを食べる風習、その理由は?体に良い効能は・・・

ではかぼちゃの「食」に関するお話しをしましょう。

かぼちゃは夏の野菜なのですが、保存ができて冬までもつので、野菜の少なくなる冬至の頃に重宝されました。

更にビタミンやカルシウム、そしてβカロティン等の栄養素を多く含んでいます。

特にヒトの体内でビタミンAに変わる性質をもつβ-カロテンには粘膜を強化する作用から、免疫力を高める効果があります。

このおかげで冬の寒風から咽喉を守り、風邪を予防する効果が発揮されます。

長期保存ができて、値も安いかぼちゃは庶民の貴重な栄養源として定着しました。

かぼちゃは油との親和性もあって油をよくとおすので、煮物以外には炒めものや天ぷらにも適しています。

ビタミンA、ビタミンE等のビタミン摂取には、油に溶ける性質があることを応用しての調理方法が最適です。

私は実は煮物とかが少し苦手ですが、炒めたり揚げたりしたかぼちゃは好物です。


またビタミンA、Eと異なって水に溶けやすいビタミンCも多く、更に目の視力低下に効果のあるルティンや塩分の体外排泄に効果のあるカリウム、貧血に効果のある鉄分等も含まれていて、かぼちゃひとつが栄養素の固まりと言えます。

更にポタージュにしたり、パイやプリンとしてデザートにも多く用いられたりしています。
ペポかぼちゃは果肉が淡泊な味で好まれませんが、種をおつまみとして供したり、トッピング食材として利用したりします。

この種には尿洩れや頻尿に効果がある『リグナン』との成分が含まれていて、最近注目を集めています。




冬至のかぼちゃレシピ:地域毎のおもしろメニュー

各地の冬至のかぼちゃレシピを調べてみると・・・

冬至にかぼちゃを食する習慣は、江戸時代以降から現代に至るまで、未だに親しみのある風習として根付いています。

でも、そのメニューは地域ごとに様々なものがあります。

冬至のかぼちゃレシピのうち、代表的なメニューを調べてみました。

「かぼちゃしるこ」北海道、愛知県、
「かぼちゃ粥(かゆ)」青森県
「かぼちゃひっつみ」岩手県
「かぼちゃ宝刀(ほうとう)」山梨県
「かぼちゃだんご」長野県
「いとこ煮」富山県、大阪府
「冬至ぜんざい」三重県
「かぼちゃの煮物」京都府
「かぼちゃの精進料理」奈良県
「南京雑煮」岡山県
「かぼちゃ汁」広島県


以上、北から並べましたが、大別すると、

(1)煮物、
(2)汁粉・ぜんざい、
(3)ひっつみ・団子、
(4)うどん(ほうとう)・雑煮・汁、
となります。




各地の冬至のかぼちゃレシピを更に解説

(1)の煮ものはかぼちゃを主体に煮炊きするのですが、「いとこ煮」というメニューも各地にあります。

これは食材の調理順序の意味で、固く煮えにくい具材から先に煮ることからの名付けです。

多くはかぼちゃと小豆を合せ煮ますが、具材を「おいおい」(順次)入れて煮ることを「甥・甥」と同じ「音」なので「甥と甥なら従弟(いとこ)」だから、との名付けだそうです。

地域特有の言い回しか、と思いきや、富山と大阪のように離れた所でも同じなので、当時は言葉遊び的な文化も庶民の底流にあるユーモアセンスの一端だったのかもしれません。
(2)の汁粉やぜんざいには、餅の替わりにかぼちゃを入れました。
貧しい庶民の間では、汁粉・ぜんざい自体を味わうことすら贅沢だったでしょうから、そこに入れるのは自ずとかぼちゃのような具材となったのでしょう。
(3)「ひっつみ」とは「ひっぱってちぎる」との意味で、小麦粉を伸ばし手でちぎった具材とかぼちゃや小豆を煮合せた調理法です。
団子同様、かぼちゃ等を更に加工した調理方法ですね。
(4)「ほうとう」とは山梨県特有のうどんで、他の雑煮・汁と同様に具にかぼちゃを使いました。


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冬至かぼちゃに適した品種とは?【まとめ】

冬至に食べる習わしのあるカボチャは江戸時代の日本伝来以来、夏野菜であるのに保存期間が長く、安価でありながら煮物や様々な調理に便利な食材として、庶民に受入れられ広まりました。

スーパーでの品種はえびすかぼちゃが多く出回ってますが、冬至からもっと寒さが厳しくなっていく時期、栄養価が高く風邪予防にも効果のあるかぼちゃを日常の食材メニューとして利用する風習が今も受け継がれています。


先人の知恵を現代でも見習って、健康で豊かな生活を楽しむレシピにかぼちゃを今後も活かしていきたいものです。