「魚飼ったことないですけど、ニモを飼うにはどうしたらいいですか!?」
今はどうなのかわかりませんが、飼育員だったころたまにこういう質問に出くわすことがありました。そんな質問には「ハマクマノミは飼いやすいですよ」とお伝えしたりもしていました。クマノミは複数種がいますが、そのなかでも圧倒的に飼いやすいのがハマクマノミでした。

*画像はイメージです。画像と本文と直接の関係はありません。


それを聞いた質問者さんは「なるほど!」と素直なリアクションを取ります。そして「うちでも展示していますよ。そこにいます」といって実際に見てもらうと、それまでの素直さが嘘のような「これはニモではない!かわいくない」というリアクション。事実かもしれないけどひどい!(笑)

そこで飼育しやすいかつ見ていて変化が楽しめるハマクマノミを当時を振り返りつつ性格から混泳、繁殖まで書かせていただきました。ニモの噛ませ犬ならぬ、噛ませ魚では終わらせない!


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確かに、比べるといろんな意味でかわいくないハマクマノミ

赤ちゃんから大人までハマクマノミを飼育したとき思ったのですが、ハマクマノミは大人になれば大人になるほど、なかなかいかつい顔つきになっていきます。
それこそ見た目がニモに近いカクレクマノミは、子供から大人までの顔の印象はそんなに変わらないため大人になっても比較的「かわいい」がキープされます。


かつクマノミの仲間たちはそれでもって水槽内に自分のテリトリーができると、少しでも近づこうものならはガンガン噛みついたり攻撃したりします。水槽掃除のときとか油断してるとやられることがありましたがカクレクマノミと比べるとハマクマノミの方が「痛い」です。

こんなこと書くと、「だれがそんな魚飼いたいと思うかぁ!」と思うかもしれませんが、ハマクマノミにはそれを補う魅力があります。



とにかく丈夫で飼育しやすいハマクマノミ

噛まれて痛いといっても、静電気をちょっとうけましたくらいなものですし、いかつい顔の大人になっているころには長い付き合いになって愛着もわくはずです(笑)

飼育の具体的な手法に関しては飼育情報を公開しているサイトがあるので、そちらに譲りますが、とにかくハマクマノミは丈夫だと思います。一度水槽の中で体調が安定すると、よほどのことが無い限り病気にはならなかったです。

それに比べると、似た環境で飼育していたカクレクマノミは何かしら水槽内で変化が起きると病気になる傾向がありました。飼育で困ったのはこの後書いている混泳の時くらいで、飼育しやすい魚だと思います。カクレクマノミや他クマノミも、極端に難しい種類ではないのですが、単純に飼育難易度を比較するとハマクマノミの方がやさしいと思います。


「魚を飼ったことが無いけどニモを飼いたい人」になぜハマクマノミをおすすめするかというと、この点がとにかく大きいです。

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のび太かジャイアンか?ハマクマノミの混泳

病気になりにくく飼育しやすいハマクマノミですが、混泳は苦労するときがあります。ハマクマノミを見ていると冒頭にも書いた通り、ドラえもんの、のび太とジャイアンの二面性があります。

実際にあったことですが、複数のハマクマノミで混泳させていると、強いメスはジャイアンのような「俺のものは俺のもの、お前のものは俺のもの」ならぬ「俺のエサは俺のエサ、お前のエサは俺のエサ」という傍若無人な勢いで他のハマクマノミに構わずに食べまくり、小さくて弱気なオスや子供は、水槽の隅に隠れて暗い雰囲気を醸し出していました。

まるでジャイアンやスネ夫にいじめられた後ののび太です(笑)とはいえ、ドラえもんはいません。こういう時は飼育者の出番です。弱い個体を別の水槽に移したり隠れ家をつくったりしてあげます。そしてさも普通のことのように「強いメス」とか「弱気なオス」と書きましたがハマクマノミたちは、メスのほうが主導権を握っています。



女性強め!!!ハマクマノミの社会

クマノミの仲間たちは大人になって最初のころはオス、成長して条件があうとメスになるという生態があります。見た目の差ははっきりしていて、メスが大きく、オスが小さいです。そして夫婦の関係が続く限りオスはメスになることはありません。不思議なことにメスがいなくなったオスは条件が整うとメスになります。これがハマクマノミを含めたクマノミ社会の面白さです。

というのも体のサイズがメス>オスと書きましたが、それは主導権においてもメス>オスということを意味します。例えば餌をやっていると、オスはメスの腰巾着のような控えめな様子で食べていることが多いです。


また彼らにお家として利用されるイソギンチャクに関しても、大きいメスのほうが良い場所を選んでいるように感じます。私は4種類のクマノミを飼育したことがありますが、ハマクマノミは他のクマノミに比べるとメスとオスの主導権の差がはっきり出ている印象があります。つまり、ハマクマノミ社会は圧倒的かかあ天下社会というわけです!!(笑)



性格とは何かを教えてくれるハマクマノミ

この主導権の差は、ジャイアンとのび太と比喩したように性格にも大きな差をもたらしています。しかしのび太となっているオスもメスがいなくなれば、自分がメスとなりひいてはジャイアンになれるチャンスがあります。


経験として面白かったのは、控えめなかわいそうな個体を別の水槽に移してあげたときです。そこは別種で他の小さい魚も一緒にいれていたのですが、その次の日、元いじめられっ子だったハマクマノミはなんとその小さい魚をいじめていたのです。


のび太だった個体が、ジャイアンに変化する、つまり人間社会や学校の教室と同じように「いじめられっ子がいじめっ子に変わった」のです。秘密道具を持ったのび太が急に強気になるのと同じように、状況や環境が変わればのび太だってジャイアンに変わる。人もハマクマノミも性格は持って生まれたものではないという、ある種の真理を垣間見た気がしました。



繁殖も狙えるハマクマノミ飼育

いじめと書くとなんだかまた印象が悪くなったような感じがありますが、魚を複数匹飼っていると割とそういう状況にはでくわします。ハマクマノミはちょっと他より短気を起こしやすいだけです。オスメスの夫婦同士でケンカすることは稀ですし、最初はハマクマノミだけで飼育してみればいいと思います。それでも十分面白いです。
例えば2匹で飼育してみると、途中から片方の一匹だけが大きくなっていくことが観察できます。つまり、メスに変化する過程を見られたりします。無事夫婦になって、飼育していると、卵を産んだり繁殖行動も見られたりします。


繁殖し、卵を世話する親の様子はそれまでのハマクマノミの印象を大きく変えるでしょう。この時は卵を守るために、自分より強そうな相手もひるまず突進していき追い払おうとします。まさに、かかあ天下の肝っ玉かぁさんといったところです(笑)



飼育しやすい入門種!ハマクマノミ。【まとめ】

ハマクマノミは、とにかく一言!飼育しやすいです(笑)まずはクマノミを飼ってみたいという人にはお勧めです。熱帯魚屋さんにも安定して販売されることが多いので、入手しやすいです。付き合いが長くなると、その個体の性格が掴めたり、繁殖するところまでみることもできます。赤ちゃんを育てることには難易度が上がりますが、チャレンジすることもありでしょう。