福豆で歳の数だけ煎り大豆を食べる理由は?節分の由来を解説!

節分の日に豆まきをした経験のある人は多いと思います。「鬼は外、福は内」と言いながら豆をまきますよね。

この習慣は、中国から伝わり、平安時代の宮中行事にすでに執り行われており、室町時代には庶民にも広まっていたものだそうです。

季節の変わり目である節分に、悪いものを追い払い、新しい季節に幸福を取り込むという願いを込めて行う行事ですが、この豆の正体は、煎り大豆です。


「豆」=「魔目(鬼の目・悪いもの)」と連想し、「煎る」=「射る」と通じ、「豆を炒った」=「魔目を射った」ということから、お祓いをした豆ということで、「福豆」とよばれています。

この福豆は、まくだけではなく、食べることもします。しかも、食べる数は「歳の数」と決まっています。

なぜ、歳の数なのでしょうか?そして、そもそも福豆が煎り大豆であるわけや、福豆を食べるわけはなぜなのでしょうか?

福豆にまつわる由来についてみていきましょう。



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福豆を歳の数食べるわけ


福豆は、何個食べてもよい

ここで、衝撃的な事実の登場です。

実は、福豆を、節分の日に何個食べてもよいのです!歳の数にこだわらなくても本当はよいのです。

そもそも、福豆を食べる数が地域によって異なっています。歳の数だけ食べる所や、歳の数プラス1粒食べる所もあります。食べる数に厳格な決まりはありません。

では、なぜこのように食べる数が地域によって異なるのでしょうか?

節分は大晦日だった

昔は、現在とは違い、節分は旧暦の12月31日のことでした。つまり、大晦日だったのです。

さらに、元旦に、みんな1つ歳をとる、ともされていました。

したがって、新しい年の健康を願って、節分である大晦日に福豆を歳の数プラス1粒食べていたそうです。

現在の新暦になると、節分は大晦日でもありませんし、歳をとるのは個人個人の誕生日であるので、福豆を食べるのは、節分の日時点の歳の数でよいわけです。

しかし、昔からの風習で、歳の数プラス1粒食べる所もあります。どちらも節分の由来に対するとらえ方の違いで、間違いではありません。

歳の数の由来

旧暦、新暦でも、福豆を歳の数を基準に食べる数を決めていますね。どうして、歳にこだわるのでしょうか?

私は、母に、「歳の数だけ体の中に鬼がいるから、それを退治するために歳の数だけ福豆を食べなさい」と、言われていました。

この考え方は、福を取り込むため、というよりは、鬼退治優先で福豆を食べていますね。そのため、私は、薬を食べるような感覚で、福豆を食べていました。

また、「今年も、前の年(歳)と同じくらい、健康でいられますように」との考えのもと、福豆を歳の数を基準に食べる、というところもあるようです。

これは、私の持論ですが、幼児、児童に限ると、福豆を歳の数ぐらいしか食べられない(消化できない)ため、歳の数ぐらい食べるのがよい、と伝えられているのではないか、と考えています。


彼らは、消化吸収能力が大人と比べて未発達であるため、煎り大豆のような、固くて消化しにくい食べ物は、実際問題、多くは食べられません。

昔の人は、経験からその事を知っていたため、全世代の人が福豆を食べて福を取り込めるようにするために、歳を基準にしたのかもしれません。



福豆が大豆(煎り大豆)であるわけ

福豆は、煎った大豆ですね。なぜ、大豆なのでしょうか?豆なら何でもよさそうですよね。

昔から、五穀(米・麦・豆・ひえ・あわ)には穀霊が宿るとされており、悪霊を祓うのに使われてきました。特に、豆は、米の次に神事によく使われてきました。

そして、豆まきの豆は、はじめは小豆が使われていました。小豆の赤い色が魔除けの色であったからです。しかし、小豆は高価であったため、室町時代ごろに安価な大豆に変わったとされています。

さらに、大豆は、都を荒らす鬼の退治に使われた、という伝説もあり、福豆が大豆である理由は諸説あります。

そして、福豆は、煎った大豆でなければならない理由もいろいろあります。

ゲン担ぎ

まずは、冒頭でご紹介した「豆を煎る」=「魔目を射る」という説。ゲン担ぎによるものです。

伝説ではありますが、昔、京の都を荒らす鞍馬の鬼に煎り大豆を投げつけたところ、その鬼を退治することができた、というお話があります。

ゲン担ぎということだけでなく、実際の効果も抜群なようですね。


邪気が芽を出す

次に、生大豆をまいて拾い忘れ、芽が出てきては縁起が悪いから、という説。「邪気が芽を出す」と連想されたからだそうです。退治した鬼が復活されては困りますよね。

生大豆には毒がある

最後に、生大豆には毒があるからです。これは、説ではなく、事実です。

生大豆には、食べ物を消化するのに必要な酵素の邪魔をする因子が含まれています。そのため、生大豆を食べてしまうと、消化不良を起こしてしまいます。

しかし、この因子は、火を通すと壊れてしまうので、大豆は加熱処理して食べないといけないのです。

福豆は、まくだけでなく、食べるので、体のためにも「煎る」作業が必要なのです。

このように、福豆が煎り大豆であるわけには、いろいろな要素があります。



福豆を食べるわけ

福豆が煎り大豆であるわけが分かったところで、なぜ食べるのか、ということをみていきましょう。

福豆を食べる理由は、2つあります。

邪気を追い払う

1つ目は、体の中の鬼(邪気)を追い払うためです。鬼は、角があり、金棒を持ち、怖い顔をしている妖怪のことをいうだけではないのです。私たちの体や心の中に存在する不調のことも含めます。この不調のことを「邪気」といいます。

「病気は気から」と、よく言われますが、まさにこの「気」は「邪気」の「気」ですね!この、自分の内なる「気」を退治するために、お祓いをした福豆を食べるようになったのです。

体の中から鬼退治!と、いうわけです。

福を体に取り込むため

2つ目は、福を体に取り込むためです。邪気を追い払ったら、福(健康)を呼び込みたいですよね。豆に宿る精霊に、この1年の健康を祈願したのです。

まさに、鬼は外、福は内、という2つの役割を福豆は担っているのです。



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福豆で歳の数だけ煎り大豆を食べる理由は?【まとめ】

福豆に関する由来についてみてきました。福豆を知るには、節分についても知っておかなければならず、1粒の豆が持ち合わせている由来の多さに、改めて感動します。

福豆は煎り大豆でなければならないわけは、ゲン担ぎや伝説に限らず、豆の毒性についても考えられた証でありました。また、福豆はまくだけでなく、食べることにも意味があり、しかも、食べる数についても由来がありました。

今度の節分の日は、福豆にまつわる由来に思いをはせながら過ごしていただきたいと思います。