銀閣寺の建築様式と義政の野望は?!名前や構造は金閣寺を意識したのか?

銀閣寺は、1489年に足利三代将軍義政が、東山に山荘を作ったことが始まりとされています。

当時は応仁の乱で、京都のまちは荒れ果て、足利家の勢力も衰退しはじめたのもこの頃からではないかといわれています。

義政は、政治よりも芸能関係に関心をもったことで、将軍職は名ばかりというレッテルをはられました。


皆さんが写真や、拝観でよく目にされる銀閣ですが、金閣寺で違うポイントはなんといっても、はなやかで派手でないことですね。

金閣寺は金箔が貼られきらびやかな様子ですが、銀閣寺はこげ茶色の建物……というに至りません。

しかし地味でただの木造の銀閣寺も、素晴らしい建築様式だったのです。

ではここで、ポイントをいくつかご紹介しましょう。



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銀閣寺の建築様式は義政好みに建てられた?

銀閣寺の一番の見どころは、なんといっても「銀閣」です。

中に入ることができませんが、庭園からかなり近い場所から拝観できるので、ぜひ傍まで行って書院造を観察してみてください。

一階の書院造は「心空殿」ともいわれ、なかには小さな木造の殿堂があり、千種地蔵菩薩像がお祀りされています。

千種地蔵菩薩像は数えきれないほどの手のひらよりも小さな菩薩像が、一体の菩薩を囲むようにずらりと並べられ、心空殿のなかにそっと安置されているのです。

世の中の安泰を願うかのように、そっとお祀りされているように思いました。

銀閣の二階は、禅宗様式になっており、花頭窓(かとうそう)が用いられ、蓮の花のかたちを意味していますが、どこか異国情緒さえ感じられる窓で、中国から伝わった建築様式とされています。

また、銀閣は「観音堂」という名前でよばれていました。

二階は「潮音閣(ちょうおんかく)」といわれ、内部には「洞中観音菩薩」がお祀りされており金箔が施され、ぴかぴかの観音さまが安置されていることから「観音堂」とよばれてきました。



日本間の元祖?東求堂に隠された書院造とは?

銀閣寺境内に義政が書斎として使ったといわれる東求堂があり、畳が敷かれた四畳半の部屋が書院造の重要な構造となっています。

この書院造は、5つの構造があげられ、現在の和室の原型になったといわれています。

室町時代から、この建築様式が始まったとされ、日本間(和室)が今日に至るまで継承されてきたことは、書院造はよほどの影響力あったのだと感じられます。

さて、この書院造の構造は次にご紹介する5つがあげられます。

まず一つ目は「畳」です。

それまでは寝殿造が中心でしたが、室町時代には武家中心の書院造が盛んになり畳の普及も多くなってきます。

義政は書斎として、勉強や華道、茶道などをたしなみ「個」の極みを獲得していったのでしょうか?

二つ目は「ふすま」です。

ふすまも日本間には欠かせませんね。

仕切りの役割はもちろんですが、襖絵が誕生したのも室町時代の頃といわれています。

千利休のころには、茶室で「侘び寂び」の演出を果たしたとか。
ふすまの歴史も奥が深いものですね。

三つ目は「違い棚」です。

金閣寺でも、萩の違い棚としても有名ですが、銀閣寺の違い棚は二段の違い棚で、書物やお茶のときに使う道具置き場として、役目を果たしました。

そういえば、現在も和のオブジェや、何かが置かれていますよね。

四つ目は「明かり障子」です。

部屋に光が差し込むだけで、雰囲気が違いますよね。

電球などなかった時代ですので、障子から光が差し込む部屋で、義政はどのように過ごしていたのでしょうね。

五つ目は「付書院」です。

現代でいう出窓のようなものですね。

貼りだしたスペースを机として使っていたといわれています。

さすが、書斎として使われていたことがうかがえますね。

公家や貴族よりも武士が勢力を増し、建築様式などにも影響が出てきたのは、寝殿造から書院造に変化していったことにあらわれていたと思うと、その時代の文化や歴史が目まぐるしく変わっていく様は、とても感慨深いものがあります。



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銀閣寺の建築様式とは【まとめ】

銀閣寺は、金閣寺とは外観が正反対ですが、書院造と禅宗様という建築様式を取りいれた、二階建てとなっています。

銀閣寺の銀閣は、当初は「観音堂」という名前でしたが、江戸時代から銀閣寺とよばれるようになりました。

銀閣寺の銀閣や東求堂は、いずれも書院造の様式が取りいれられ、なかでも求堂はそれぞれの特徴(畳・ふすま・違い棚・明かり障子・付書院)が日本間の始まりとされています。

義政は、東山の地に多くの文化を残し、訪れる人の心に感動をあたえてくれます。

銀閣寺は銀を見ることができませんが、漆黒の銀閣も本当に優美なものですよ。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。