ピッチャーが投げた次の日に登板できない理由は、回復のための大切な時間だった!

プロ野球の世界では、先発ピッチャーは、通常中6日の間隔をあけたローテーションで回ることが主流です。

それにより、投げた次の日は登板できないこととなります。

これは、身体、特に肩や肘を酷使するピッチャーにとって、ケガを防止するために回復の時間を取ることが重要だからです。

特に、先発ピッチャーの場合は、5イニング以上、100球前後投げるケースが多く、その回復に多くの時間を要します。


ケガだけでなく、身体の疲労も相当なものなのでしょうね。

最大限のパフォーマンスを発揮するためにも、投げた次の日のこの回復や休息はとても大切な時間となります。

一昔前の野球界では連日連投なども珍しいことではありませんでしたが、スポーツ医学の発達した現代では、基本的にはタブーとされています。

今回はピッチャーの登板間隔について、深堀りしてみたいと思います。



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昭和の大投手の多くは先発にリリーフにと連日連投を続けていた

ピッチャーは投げた次の日には本当に登板できないのでしょうか?

昭和のプロ野球で大投手と言われた数々の名選手のほとんどは、先発ピッチャーとして完投した次の日にはリリーフ登板をするなど、大車輪の働きをしていました。

元横浜ベイスターズの監督權藤博さんは、中日ドラゴンズに入団直後一年目の1961年にいきなり35勝をあげます。

シーズン69登板のうち、44試合に先発、32試合完投しています。

投球回数は429.1イニングと、今見ると驚愕の数字が並んでいます。

ちなみに、2023年シーズンの最多投球回数は、広島東洋カープの九里亜蓮選手で、174.1イニングです。

九里亜蓮選手は26試合にいずれも先発として登板、完投は3度のみです。

一昔前のプロ野球のピッチャーの常識が現代とどれほど違うかがよくわかる数字ですね。

連投を重ねる権藤博選手のことをもじって「権藤、権藤、雨、権藤。雨、雨、権藤、雨、権藤」というフレーズが当時流行しました。

雨で中止の試合を除けばいつも権藤博選手が投げた、というまことしやかな風潮を表しています。

それでも、権藤博選手の起用方法は当時から賛否あり、実際に権藤博選手はプロ3年目に肩と肘を故障し、わずか5年で選手生活を終えています。

時代が違えども、ピッチャーの身体は消耗品であり、回復と休息が必要であることは変わりません。



ピッチャーが投げた次の日には当番できない?

現代のプロ野球では、先発ピッチャーは基本的に中6日(6人の先発ピッチャー)のローテーションで回しています。

これは、試合日程上の都合でもあり、日本のプロ野球では、火曜日から日曜日まで6試合、月曜日は休み、という日程が多くなっています。

そのため、ある程度パターン化した曜日・間隔で先発投手が登板することになります。

この登板間隔のパターン化は、先発投手にとっては調整がしやすく、回復や休息の時間も十分に確保できる状態となりますね。

ただ、シーズン終盤など、絶対に落とせないカードであったり、その投手の得意・苦手な対戦チームなどによって、しばしばこのローテーションは崩されます。



メジャーリーグでは先発ピッチャーの中4日・中5日も珍しくはない!

では、メジャーリーグではどうでしょうか?

2023年横浜DeNAベイスターズに入団した元メジャーリーガーのトレバー・バウアー選手が、中4日で先発登板するなど、話題となりました。

メジャーリーグではこのように、中4日・中5日の先発登板というのは珍しいことではないようです。

ただし、1試合の球数は90~100球程度で、それを超えると降板します。

考え方の違いは多少あれども、日本もアメリカもそれぞれがピッチャーの身体の負担や回復の重要性を認識し、投球に関して一定の基準にそった起用方法をしているわけなのですね。



先発ピッチャーとは事情が異なるリリーフピッチャーでも回復の時間は重要

一方、リリーフピッチャーは、毎試合のように連投するケースがよく見られます。

先発ピッチャーの完投が少ないということは、リリーフピッチャーの登板がおのずと増えるということになります。

実際、ここ10数年、リリーフピッチャーに対する評価の仕方が大きく変わりました。

プロ野球各チームも、ローテーションピッチャーだけでなく、中継ぎ、セットアッパー、ストッパーと、力のある選手を割り当てています。

リリーフピッチャーはほぼ毎試合ベンチに入るため、投げた次の日には登板できないということではありません。

しかし、最近のプロ野球ではリリーフピッチャーにも、先発ピッチャーと同様、回復と休息の時間を取る傾向が見られます。

3連投・4連騰した次の日はベンチに入れないなど、各チームそれぞれに工夫されているようですね。

また、かつてはイニングをまたいで投げることもいとわなかったストッパーも、現代ではほとんどの選手が1イニング限定とされています。

先発ピッチャーは登板間隔、リリーフピッチャーはイニングや球数限定で上手に身体の
負担を抑えていることがわかります。



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ピッチャーが投げた次の日は登板できない?【まとめ】

今回はピッチャーが投げた次の日には登板できないその理由や、昔と今のピッチャーの起用方法の違い、日米の違いなどについてまとめてみました。

時代が違うとは言え、今でもプロ野球OBからは、先発完投型のピッチャーを望む声が聞かれます。

昔からのプロ野球ファンにとっても、好投している先発ピッチャーが突然降板すると、とても残念な気持ちになってしまいがちです。

しかしその起用方法にはちゃんとした理由があり、それは選手自身の身体を守るための考え方だと理解できます。

ケガをせずに、長く活躍してくれることがファンにとっては一番の喜びとなりますね。